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[内視鏡AIの過去と未来] AIメディカルサービス創業秘話~創業期とプロトタイプの開発~

内視鏡医であり、AIメディカルサービスの創業者・代表取締役CEOでもある多田智裕が語る、AIメディカルサービスの創業秘話、「内視鏡AIの過去と未来」。今回は、創業から、内視鏡AIのプロトタイプを研究・開発していった期間のお話をご紹介致します。

「会社じゃない」と言われたAIメディカルサービスの創業期

株式会社AIメディカルサービスは、神楽坂のアパートの一室で、メンバー4名からのスタートしました。会社が設立されたことを知って訪ねてきてくれた取引先の方からは、
「ここ、会社じゃなくてアパートの一室だね」と言われるくらいの、ワンルームの狭い部屋でした。
当時社員第一号であったエンジニアは山形に住んでおり、家族は山形に残し単身赴任する形で当社に出勤していました。彼は東京にいる間、部屋にあったソファーベッドで寝泊まりするような状況でした。

完成したプロトタイプへの凄まじい反響

会社設立後は、研究成果を医療現場に使えるようなプロトタイプを開発しました。2017年の10月には、大阪国際がんセンターの七條先生と一緒に研究を行った、ピロリ菌を鑑別するAIの論文が「EBioMedicine」に掲載されました。ピロリ菌が「いるか」「いないか」をAIが鑑別することができ、専門医と同等の精度で鑑別することができる、という内容の論文です。この論文の反響は凄まじく、テレビの取材が来たり新聞にも掲載されたりと、大きく注目されました。専門医並みにAIが鑑別できるという結果が衝撃的だったのだと考えています。

AIメディカルサービス創業秘話

実は、当初2,000枚ほどの教師データでAIを作成した時点では、AIの鑑別の精度がなかなか上がりませんでした。そこで、教師データを10,000枚ほどまで増やしたところ、精度は上がっていったのですが、そうは言ってもまだ専門医並みの精度には達しませんでした。
当時、AIには単純にピロリ菌が「いる」「いない」ということだけを学習させておりましたが、ご存じの通り胃の中というのは、場所によって見え具合が全然違います。つまり、AIは胃のどの部位を撮影しているのか判断できていませんでした。そこで、私共はプロトタイプのAIに、ピロリ菌が「いる」「いない」に加えて、胃の部位をAIに学習させることで、専門医並みの精度を達成することができたのです。

埼玉発の内視鏡AIが世界へ、しかし・・・

更に2018年1月には、胃がんを検出する世界初の論文を「Gastric Cancer」に発表することができました。「6ミリ以上」「静止画」という条件付きではありますが、専門家でも検出するのが難しいような、胃炎にまぎれた見つけにくい早期胃がんを、98%の確率で検出することが可能であることを示したこの論文は、世界中から大変注目されました。日本国内では、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞等に掲載されるほど反響でした。

胃がんをAIが検出できるという結果は、その後ヨーロッパ最大の学会であるESGEで平澤先生が発表し、そこで最優秀賞を獲得しました。2018年の5月には、「ピロリ菌を鑑別するAI」「胃がんを検出するAI」を組み込んだ、プロトタイプが完成し、これをがん研有明病院に設置、データの収集を開始しました。この模様はNHKの番組でも特集される程、世間の注目度は高かったです。

このように、2018年の前半1月から5月にかけては、埼玉で始まったこの内視鏡AI研究が世界で認められ、そして世界でも通用するのではないかという実感を得た期間でした。
しかし、このプロトタイプ完成から薬事承認を取得し、実用化に至るまでの道には、まだまだ大きな困難が待ち受けていたのでした。

編集 / 南 洋佑
Yosuke Minami
株式会社AIメディカルサービス 事業推進室

概略
新卒で医療×ITのビジネスを展開しているベンチャー企業に入社。生活習慣病患者さん向けのオウンドメディアにて、編集やライティング業務に従事。消化器領域における人工知能の活用に可能性を感じたこと、会社のビジョンに共感したことから、2020年より現職。「有益な情報をわかりやすくお伝えすること」をモットーに、gastroAI onlineにて記事を執筆中。

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