学会・イベント登壇情報 CONFERENCE

[登壇報告]第26回福島県消化器病研究会

2021年9月11日に開催された第26回福島県消化器病研究会にて、株式会社AIメディカルサービス代表取締役CEO多田智裕が登壇しました。本稿は「世界に挑戦する日本の内視鏡AI」について紹介いたします。

第26回福島県消化器病研究会とは

第26回福島県消化器病研究会は2021年9月11日(土)にホテルサンキョウ福島にて、ZOOMウェビナーと並行したハイブリッドで開催されました。

    1. 日時:2021年9月11日(土)16:00~18:00
    1. 福島県福島市大町7-11 TEL:024-525-2211
    1. 会場:ハイブリッド開催(Zoomウェビナー)
    1. WEB視聴 :https://bit.ly/36JGVLd
    会場参加 :ホテルサンキョウ福島 2F「芙蓉」

学術情報 『消化器疾患領域 情報提供』15:45~ EAファーマ(株)

Ⅰ 教育講演

『 胃癌を見逃さないための非拡大内視鏡検査のコツ 』

    座長:天神橋クリニック 院長 佐藤佳浩 先生
    福島県立医科大学附属病院 内視鏡診療部 副部長・学内講師 中村 純 先生

『 大腸腫瘍を見逃さない非拡大の内視鏡検査のコツ 』

    座長:済生会福島総合病院 消化器科 医長 赤塚英信 先生
    福島県立医科大学 消化器内科学講座 助手 川島一公 先生

Ⅱ特別講演

『 世界に挑戦する日本の内視鏡AI 』

    座 長:福島県立医科大学附属病院 内視鏡診療部 部長・准教授 引地拓人 先生
    株式会社AIメディカルサービス代表取締役CEO/ただともひろ胃腸科肛門科 理事長 多田智裕

本稿では「世界に挑戦する日本の内視鏡AI」の講演内容についてご紹介します。

世界に挑戦する日本の内視鏡AI

演者: 多田智裕/株式会社AIメディカルサービス代表取締役CEO

本セッションでは当社多田から来年上市される予定の内視鏡AIと今後、世界に展開予定を踏まえ「世界に挑戦する日本の内視鏡AI」という標題で現在までの取り組みを報告しました。

AIの研究開発と現在までの成果

内視鏡AIの歴史

ディープラーニングの技術発展により、第4次産業革命ともいわれる現在の第3次AIブームが巻き起こりました。人類最後の発明とも言われ、大量の良質で正確な癌の画像をAIに教えると、その特徴を捉えて似たような画像を「これは癌です」とAIが判定できるようになりました。ヒトも5%ぐらい癌を見誤ってしまうと言われますが、2015年、ディープラーニングを用いた画像認識能力は人間を超えました。ここが歴史的なターニングポイントでAI革命がスタートしたのです。

画素認識ではAIが人間を超えた

まだ誰もAIの研究をしていない頃、私は現場で開業医として年間9,000件ぐらい内視鏡検査をしていて、早期胃がんを見逃すのはリスクがあるとか胃がんの内視鏡検診のダブルチェックは大変だとか、読影量が多いことに困っておりました。
画像認識能力でAIが人間を上回っているのなら、AIを内視鏡に使ったらその課題を解決するのではないかと思い、がん研有明研究所の平澤先生と一緒に研究を始めたのがきっかけです。
このようなベンチャー企業が新しい医療機器を作るという形が近年増えています。

なぜ内視鏡AIなのか

先生方の中には内視鏡AIを大腸で体験済みの方もいるかもしれません。AIは今までの医療シーンには存在しないソフトウェアですが、内視鏡AIと言っても患者さんは普通の内視鏡検査を受けるだけで、追加の負担は一切ありません。

医師もAIの表示の見方ぐらいを覚える必要はありますが、専用のトレーニングセンターに行き研修をする必要はなく、その日から使えます。内視鏡AIの心理負荷軽減では、まず間違いなく内視鏡癌の検出感度は向上できると考えています。

内視鏡AIはソフトウェア医療機器ですので、誰にとっても普及しやすい環境が整っていると考えております。

内視鏡AIの領域

様々な分野で内視鏡AIの導入が可能です。大腸の分野では、ポリープを検出、鑑別するAIがいくつか出ておりますが、胃がんや、その他の扁平上皮がんでは、世界でまだ製品がない状況で、当社は第1弾製品である胃がん鑑別AIは開発完了して医療機器承認申請の手続きに入っています。

プレスリリース:世界初の胃がん鑑別AIを医療機器製造販売承認申請いたしました(2021年8月31日)

なぜ上部内視鏡AIなのか

上部消化管に発生するがんは早期発見が非常に重要です。胃がんの場合、ステージ1で見つけると5年生存率は97〜8%ですが、ステージ2では、一気に64%に下がってしまいます。
食道がんも同様で、ステージ1で見つければ8〜9割完治するのに、ステージ2だと5〜6割になってしまう。早期発見がきわめて重要で、癌を検出、鑑別するAIは臨床的な有意性、有用性が高いと考えています。

内視鏡AIの開発プロセス

胃がん

多くの先生方や大学病院と研究開発をスタートし、2017年に初の論文であるピロリ菌感染胃炎の鑑別AIに関する報告を大阪国際がんセンターの七條先生と共に発表しました。その感度、特異度は日本の内視鏡専門医の平均を上回るぐらいの精度であると報告しました。ピロリ菌の現感染と未感染に関するもので、除菌後も混ぜる必要があり、後に除菌後画像を10万枚以上増やして実施したのですが、感度が7割ぐらいにまで減少したのでAIでも難しいと思いました。

次に平澤先生がヨーロッパの学会で発表し、最優秀賞を受賞して一躍世界的に有名になったのが、2018年にGastric Cancerに掲載した世界初の胃がんの拾い上げの論文です。静止画を使用し、AIは92%の感度で癌を検出しました。しかも6mm以上の癌であれば98%以上で検出できる非常に優れた成績を出しました。

静止画だけではなく、動画でも普通の内視鏡検査とAI内視鏡検査で検証しました。通常は内視鏡検査で見失いそうな癌病変を、AIが搭載されると一緒に癌を検出し、怪しい部位を表示して見逃しを防止することができ、その部位を詳しく診ることもできます。

がん研有明病院と東京大学医学部附属病院のデータをメインで使用した胃炎に紛れて見つけにくい早期胃がんも、AIは瞬時に癌を検出が可能だと報告しました。胃炎に似ている微妙な癌もAIが検出できます。

2019年、世界初となる動画による胃がん拾い上げ論文を発表しました。2020年には内視鏡医と比較しています。早期胃がんの見逃しは2〜3割とされていますが、3,000枚程度の画像を使い、67名の内視鏡医とAIによる精度の比較を行いました。この枚数では9割程度の先生が異常なしと判断してしまいますが、AIは全て検証をして、AIの感度は日本の内視鏡医を上回ると報告しました。

また、上山先生らが拡大NBIによる癌か非癌かの鑑別を水浸法を使用して、非常に高い感度を報告しています。がん研の堀内先生らによる普通の拡大NBIの研究では臨床現場の一般的な画像のテカリや一部のぼやけでも胃がんの鑑別感度は80%で、内視鏡医と同等であると報告しました。
また、AIの鑑別により胃がんの深達度がSM1かSM2以上か、手術が必要かを90%以上可能であることを示しました。内視鏡AIでは、鑑別だけでなく、治療方針の決定支援にまで応用可能と示されました。

編集 / 南 洋佑
Yosuke Minami
株式会社AIメディカルサービス 事業推進室

概略
新卒で医療×ITのビジネスを展開しているベンチャー企業に入社。生活習慣病患者さん向けのオウンドメディアにて、編集やライティング業務に従事。消化器領域における人工知能の活用に可能性を感じたこと、会社のビジョンに共感したことから、2020年より現職。「有益な情報をわかりやすくお伝えすること」をモットーに、gastroAI onlineにて記事を執筆中。

内視鏡・AI・医療の今を知る 会員登録はこちら