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[登壇報告]浜松医科大学光学医療診療部・第一内科勉強会「人工知能(AI)を用いた内視鏡診断支援~AIM共同研究スタート特別企画~」

勉強会企画概要

2021年4月下旬に、株式会社AIメディカルサービス(以下、AIM)は、AIMが実施している内視鏡AIの開発に関して、内視鏡検査に関わる医師やコメディカル等の方々へ報告する勉強会を行いました。
本稿では勉強会の内容を、パネルディスカッションを中心にサマライズします。

勉強会概要

対象(参加者):浜松医科大学光学医療診療部・第一内科に所属する内視鏡医の先生/コメディカルの方及び関連施設の方々
場所:浜松医科大学(静岡県浜松市)
参加者人数:48名(医師+コメディカル等)※現地参加とオンライン参加の合計
※本勉強会は十分な感染対策を行った上で実施しました。

講演内容

なぜ内視鏡AIなのか

なぜ内視鏡AIなのか

内視鏡AIの未来

内視鏡AIは、内視鏡検査に関わる人をWIN-WINにできるプロダクトではないかと考えています。まず、専門医と内視鏡AIの診断支援によって診断の質を上げることができれば、患者さんはより高精度の検査を受けることができるようになります。また、内視鏡AIによる診断支援を受けることで、検査を行う内視鏡医の負荷を減らせる可能性もあります。更に、導入した医療機関においても、業務効率化とリスク低減がもたらされる可能性が考えられます。

2018年に内視鏡AIを有名にしたのが、胃がんAIのプロトタイプによる病変の拾い上げ診断支援AI論文でした。世界で初めて、AIが胃がんを見つけられることを示しました。また、静止画だけでなく動画でも拾い上げが可能であることが確認されました。

開発中の内視鏡AIと内視鏡医の読影精度比較

開発中の内視鏡AIと内視鏡医の読影精度比較

内視鏡医との読影精度の比較試験においても、AIが専門医を、有意差をもって上回る感度で、胃がん検出が可能なことを示しました。

内視鏡AIの課題

内視鏡AIの解析対象外のケース

内視鏡AIの解析対象外のケース

現在、実用化に向けて準備を進めていますが、課題もあります。画像がぶれていたりハレーションを起こしていたり、出血していたりする場合では、AIが適切に解析できないことがあります。ある程度撮影条件を整える必要があり、今後より臨床現場で使いやすいプロダクトにしていければと考えています。

パネルディスカッション:内視鏡AIに求めるもの

講演の後半では、出席いただいた先生方と「内視鏡AIに求めるもの」というテーマでパネルディスカッションが行われましたので、その一部をご紹介致します。

判別理由の言語化による、「医師が教えきれない範囲」の示唆

杉本健先生(浜松医科大学 第一内科 教授)

杉本健先生(浜松医科大学 第一内科 教授)

(杉本先生)我々は内視鏡医として教育を受けるわけですが、胃がんは少し赤かったり、凸凹していたり、辺縁がギザギザしたりという特徴を見つけて、発見の精度を上げていきます。おそらく、医師が学んだ・経験した以上のデータをAIに覚えさせていけば、医師が発見できないような隠れた胃がんも見つけてくれるようになるでしょう。

私がAIに求めている部分は、人間が見過ごしてしまうような病変をAIが言語化して、なぜ判別したのか理由をフィードバックできるシステムが構築されることです。医師として教えられてきたものでないものがAIによって検知されてくるはずですが、その理由をAIの検出データから読み取ることは可能なのでしょうか。

(多田)言語化ではありませんが、一つの可能性としてAIのヒートマップに着目することができます。ヒートマップではどの部分にAIが注目してがんや炎症と判断したのかがわかります。そのため、どこをAIが判別したか、把握することも技術的には可能です。

(杉本先生)IBD(炎症性腸疾患)のがんは非常に見つけにくく、AIによる早期発見を非常に期待しています。大腸炎関連大腸がんもそうですが、がんになる前は正常な部分であるわけです。将来的にがんになりそうな部分というのもAIによる学習で早期発見できるようになりそうでしょうか。

(多田)去年発表された研究では、ヨード染色していない食道がんの発見をAIに行わせました。残念ですが精度はすぐさま製品化可能なものではありませんでしたが、病変の早期発見に向けて検討できるものかと思います。IBDなど今後検出が難しいがんに対応するAIも開発できるかもしれません。

無駄な生検の削減や若手医師のトレーニングへの活用

古田隆久先生(浜松医科大学 臨床研究管理センター 病院教授)

古田隆久先生(浜松医科大学 臨床研究管理センター 病院教授)

(古田先生)今後のがん治療において非常に期待できるシステムだと思います。拾い上げの感度についても興味深いですが、この感度は調整できるものなのでしょうか。

(多田)調整は可能ですが、感度を上げすぎるとシステムの検知スピードが下がってしまうデメリットがあります。感度については、製品版に向けて性能評価試験を行い、調整していきたいと思っています。

(古田先生)浜松市のデータを見ると、胃がん検診の生検率は6%。生検する人の20人に1人しかがんが発見されません。AIによって生検率を絞り込んでいただけると、無駄な生検によるリスクが軽減されるのではないかと期待しています。また、病変の発見も内視鏡診療を10年続けていないと正確に診断できないと過去には言われていました。AIによって若い先生の診断をサポートできるようになることも期待できるかと思います。

(多田)AIによってポリープの発見数が増えるので、一時的に生検の数が増えることは考えられます。しかし、AIの完成度が上がることによって、ゆくゆくは生検の数を減らすことに貢献できるかもしれません。

内視鏡診断に必要な豊富な経験値をAIがあることで補填

大澤恵先生(浜松医科大学 光学医療診療部 部長)

大澤恵先生(浜松医科大学 光学医療診療部 部長)

(大澤先生)内視鏡診断は経験値が必要で、機器の挿入だけでなく、診断学も経験によって積み上げられているものが非常に大きく、本当に難しい病変はエキスパートしか発見できないという現状があります。その問題点を埋め合わせるためにAIが存在しているのだと思います。

(多田)AIは万能ではなく、まだまだ学習できていないデータや診断できない部分もあります。今後は人間とAIの共同作業によって、お互いの弱点を補填し合う関係で発展できればよいと考えています。

内視鏡AIの体験

本勉強会では、AIMが研究開発中の内視鏡AIを内視鏡医に体験、フィードバックをいただくための取り組みである「内視鏡AI体験(出張版)」も実施しました。

内視鏡AI体験とは

現在、弊社が研究開発中の内視鏡AIを、内視鏡医の先生方に体験いただくための取り組みです。弊社スタッフご説明の上、無料で研究開発中の内視鏡AIの操作を体験いただけます。弊社オフィス(東京都 池袋)に御来社いただく、もしくはオンライン会議システムを利用した遠隔での実施になります。また、感染対策を徹底したうえで病院様・クリニック様へご訪問する、出張版の内視鏡AI体験を行う場合もあります。

本勉強会のAI体験では、当社が用意したパネルだけでなく、先生方が実臨床で「判断が難しい」と思った症例をプリントアウトしてAIに判定させる取り組みも行いました。先生方が体験された「内視鏡AI体験」は、以下よりご予約いただけます。お気軽にご連絡ください。


編集 / 南 洋佑
Yosuke Minami
株式会社AIメディカルサービス 事業推進室

概略
新卒で医療×ITのビジネスを展開しているベンチャー企業に入社。生活習慣病患者さん向けのオウンドメディアにて、編集やライティング業務に従事。消化器領域における人工知能の活用に可能性を感じたこと、会社のビジョンに共感したことから、2020年より現職。「有益な情報をわかりやすくお伝えすること」をモットーに、gastroAI onlineにて記事を執筆中。

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