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【動画あり】「LCIの仕組みと観察における留意点」特別講演:新たなステージに向かう内視鏡スクリーニング Part 3(自治医科大学・大澤博之先生)

株式会社AIメディカルサービスでは、大澤博之先生(自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門 教授)に、内視鏡検査におけるがんの見落としとそれを防ぐための色調を考慮した診断法について「新たなステージに向かう内視鏡スクリーニング~LCIの基礎から応用まで~」という題目にて、講演会を開催していただきました。本稿では講演会の内容を5パートに分けてご紹介いたします。

本記事では、Part3としてLCIおよびBLIの仕組みと観察における留意点について、大澤先生のこれまでのご経験を踏まえながら解説していただきました。なお、講演内容については、本投稿下部によりYoutubeにアクセスし、動画でご覧いただくことが可能です。

Part1:胃がんと内視鏡診断の基礎知識
Part2:色調コントラストの重要性とLCIの特徴
Part3:LCIの仕組みと観察における留意点
Part4:スクリーニングでは瞬時の判断が求められる
Part5:見えないがんを見えるがんに変えて、胃がんの見逃しを防ぐ

BLIでの観察においてはC2を推奨

BLIの色彩強調においては、C1、C2、C3の3つの設定があります。

C1とC2では背景の粘膜の色調が異なっている様子がわかると思います。C1では周囲粘膜が茶色っぽく見えますが、C2では緑色になっており、がんと周囲粘膜の境界が視認しやすくなっています。自治医科大学ではBLIの観察においてはC2を推奨しています。

LCIでは色で病変を見分ける

LCIによる観察では色によって病変を鑑別することができます。色の変化は大きく2つ:オレンジ色と紫色に分かれます。オレンジ色には種々の組織が関係していますが、がんの可能性もあります。一方で、紫色はがんではなく炎症の可能性が高いことを示します。このようにLCIによって鑑別するときは色の違いに着目することが非常に大切になります。
「LCIの仕組みと観察における留意点」特別講演:新たなステージに向かう内視鏡スクリーニング Part 3(自治医科大学・大澤博之先生)

なぜ、LCIでは色調がオレンジ色と紫色に分かれるのか?

LCIによる観察では色調による強弱を観察して診断をしていきますが、色調は大きく分けるとオレンジ色と紫色の2色になります。色調が変化する理由は、短波長光(可視光線のうち、波長の範囲の短い青色・紫色)の吸収・反射が関係していると考えられます。例えば、高分化腺がんの場合には粘膜表面に腺管が密集しているため、410nmの紫色、450nmの青色の短波長光は吸収されやすくなり、主として長波長光の緑と赤が最終的に残ってオレンジ色となると思われます。一方で、中分化腺がんの場合には、粘膜表面には腺管が密集していないため短波長光は吸収されずに反射されやすくなり紫色になると考えられます。
「LCIの仕組みと観察における留意点」特別講演:新たなステージに向かう内視鏡スクリーニング Part 3(自治医科大学・大澤博之先生)「LCIの仕組みと観察における留意点」特別講演:新たなステージに向かう内視鏡スクリーニング Part 3(自治医科大学・大澤博之先生)

鑑別におけるLCIの有用性

LCIが粘膜の色調を作り出す機序について波長の面から考えてきました。ここでは実際の内視鏡像の鑑別における有用性について紹介します。下記の症例は陥凹性病変ですが、白色光観察では炎症性変化よりも腫瘍性変化を疑うかもしれません。しかし、LCI観察では陥凹面の大部分は紫色であり、炎症の可能性が高いことが分かります。このように白色光観察では一見すると、がんの疑いがあるものでも、LCIでは炎症だと鑑別することができるようになります。
「LCIの仕組みと観察における留意点」特別講演:新たなステージに向かう内視鏡スクリーニング Part 3(自治医科大学・大澤博之先生)

診断精度をさらに向上させるには?

オレンジ色領域の診断能力を高める。

LCIは分化度の違いをオレンジ色の濃度の違いである程度表すことができます。典型的な色調として下記に示すPure orange色は高分化腺癌の可能性が高くなります。

「LCIの仕組みと観察における留意点」特別講演:新たなステージに向かう内視鏡スクリーニング Part 3(自治医科大学・大澤博之先生)
オレンジ色領域の診断能力を高める-高分化型腺癌一方ではorange色に赤味が加わってくることがあります。赤味が強くなれば中分化腺癌の可能性が高くなってきます。下記に示す病変では上記の病変よりも赤味が強くなっています。病理所見では上記の高分化腺癌では粘膜浅層に癌腺管が密にみられますが、下記の中分化腺癌では粘膜中間層に癌腺管「LCIの仕組みと観察における留意点」特別講演:新たなステージに向かう内視鏡スクリーニング Part 3(自治医科大学・大澤博之先生)が密にみられます。したがって、がんの分化度が低くなれば、LCIが示すオレンジ色の濃さは弱くなっていくことがわかります。

「LCIの仕組みと観察における留意点」特別講演:新たなステージに向かう内視鏡スクリーニング Part 3(自治医科大学・大澤博之先生)

紫領域の診断能力を高める

多田 智裕(医師)
Tomohiro Tada
医療法人ただともひろ胃腸科肛門科 理事長 株式会社AIメディカルサービス 代表取締役CEO 医師

概略
1996年東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院外科研修医として勤務。
2005年に東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。
2006年より武蔵浦和メディカルセンターただともひろ胃腸科肛門科開業。
2012年より東京大学医学部腫瘍外科学講座客員講師。
2017年株式会社AIメディカルサービスを設立、代表取締役CEOに就任し、現在に至る。  

所属学会・資格・役職など
浦和医師会胃がん検診読影委員
日本外科学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本大腸肛門病学会専門医

著書・論文など
【著書】
『行列のできる 患者に優しい“無痛”大腸内視鏡挿入法』など著書複数。

【論文】
Application of artificial intelligence using a convolutional neural network for detecting gastric cancer in endoscopic images.
Hirasawa T, Aoyama K, Tanimoto T, Ishihara S, Shichijo S, Ozawa T, Ohnishi T, Fujishiro M, Matsuo K, Fujisaki J, Tada T.
Gastric Cancer. 2018 Jul;21(4):653-660. doi: 10.1007/s10120-018-0793-2. Epub 2018 Jan 15.
PMID: 29335825 など多数

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