インタビュー INTERVIEW

[インタビュー]「内視鏡医の教育においては”言語化”がポイント」 野田 啓人先生(日本医科大学付属病院 消化器内科)

gastro AI onlineでは、内視鏡医の先生方に役立つ情報を中心に、情報を発信しています。今回は、日本医科大学付属病院 消化器内科(東京)でお勤めの野田啓人先生に、現在の内視鏡診療における課題についてお伺いしました。

内視鏡AI等の比較的新しい研究は、どこまで実施されているのかがわかりづらい

先生が日々の診療、教育、研究等でお困りのことを教えてください

もちろん、大学病院の先生と一般診療所の先生、内視鏡の経験が長い先生とそうでない先生でニーズは変わってくる思いますが、自身の話をすると大学院を卒業して8年目、内視鏡による治療を始めて5年目の立場です。今回、論文を書き始めて思ったのですが、AIを絡めた内視鏡領域の研究は、既に多くの発表・論文化がされている中で、どこまでが既に研究されていて、どこからが未解明なのかがわかりませんでした。

医師のみなさんが使っている論文検索サイトを利用して調査しますが、自分が知りたい範囲より多くの論文が検索結果として表示されてしまうため、なかなかほしい情報を知って整理するということが難しいと感じます。特に内視鏡領域においては、静止画による研究はこれまで多く実施されているので、これからはリアルタイムを意識した動画による研究が中心になってくるのではないかと考えています。つまり、「静止画」「動画」どちらの研究であるかが一目でわかると、私のような立場の医師にニーズがあると考えます。また、それに加えて「部位別」「内視鏡のモダリティ(白色光、NBI等)別」で研究・論文を探せると良いですね。

教育における「言語化」の難しさ

若手医師の教育の観点で、課題感があればご教示ください

こちらも上記のニーズと同様で、教育される側、教育する側と立場によってニーズは変わってくると思います。教育される立場における課題感としては、ご教授いただいている先生に自身が検査・診断しているところを見ていただき、ご指導いただける機会が少なくなってきていることがあります。病変を見つけたときにどのように診断すればよいか、見逃している病変はないか等、迷って相談したいときに、必ずしも相談できる状況ではないので、そこが教育される立場にとっては課題だなと感じます。

一方で教育する立場としては、診断の過程をその場でゆっくり説明したり、難しい微細な手技について言語化することが難しいと感じています。現在私が教えているのは内視鏡を握って1年~2年目の先生たちですが、例えば鉗子の角度がスコープによって決まっており、大体7時の方向に出ているので、採る方向は必ず6時方向に持っていくこと、食道や胃でも空気をパンパンに張っている状態だと鉗子(と病変)が水平にならなく掴みづらいので、ある程度、脱気して、かつ写真が赤玉で潰れないようにすることを教えていたりしています。

しかし、言語化された指導内容を頭の中でわかっていても、スムーズに飲み込める先生もいれば難しく感じる先生もいます。自分の指や手をどのように動かせば良いか分かりづらいところ、感覚は人それぞれなところ、つまり指導内容をどのように言語化すれば再現性を担保できるかというところが、教育における課題になっているかなと思います。余談ですが、私の経験上では、ゲームが得意な人は指先の感覚に優れ、飲み込みが早い傾向がありますね。

やはり、数をこなすことは大切なので、何十回・何百回とその場を経験して、内視鏡操作を動かして失敗も経験して、としないと体に染み付かずうまく習得できないのかなと思っていますが、その過程をスムーズにできるものがあればありがたいですね。

多田 智裕(医師)
Tomohiro Tada
医療法人ただともひろ胃腸科肛門科 理事長 株式会社AIメディカルサービス 代表取締役CEO 医師

概略
1996年東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院外科研修医として勤務。
2005年に東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。
2006年より武蔵浦和メディカルセンターただともひろ胃腸科肛門科開業。
2012年より東京大学医学部腫瘍外科学講座客員講師。
2017年株式会社AIメディカルサービスを設立、代表取締役CEOに就任し、現在に至る。  

所属学会・資格・役職など
浦和医師会胃がん検診読影委員
日本外科学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本大腸肛門病学会専門医

著書・論文など
【著書】
『行列のできる 患者に優しい“無痛”大腸内視鏡挿入法』など著書複数。

【論文】
Application of artificial intelligence using a convolutional neural network for detecting gastric cancer in endoscopic images.
Hirasawa T, Aoyama K, Tanimoto T, Ishihara S, Shichijo S, Ozawa T, Ohnishi T, Fujishiro M, Matsuo K, Fujisaki J, Tada T.
Gastric Cancer. 2018 Jul;21(4):653-660. doi: 10.1007/s10120-018-0793-2. Epub 2018 Jan 15.
PMID: 29335825 など多数

内視鏡・AI・医療の今を知る 会員登録はこちら