インタビュー INTERVIEW

[インタビュー]「内視鏡検査は医師にとっては100分の1でも患者さんにとっては1分の1」土肥統先生(京都府立医科大学 消化器内科 講師)

gastroAI onlineでは、内視鏡医の先生方に役立つ情報を発信しています。今回は、内視鏡医のオリンピックとも呼ばれる「U45 Endolympic 2020 Kobe(日本消化器関連学会機構主催)」で銅メダルを獲得され、書籍「名医のいる病院2021」にも取り上げられた京都府立医科大学消化器内科にて講師を務められる土肥統先生に、内視鏡診察および内視鏡AIについてお話をうかがいました。

患者さんの負担軽減のためにはコツコツと内視鏡の経験と診断能力を磨くことが大切

ESDで患者さんの負担を軽くするポイントを教えてください。

内視鏡治療における患者さんの負担を軽くするためには、施術時間を短く済ませることに限ります。これについては、経験と能力を育むしか道はありません。

そのためには、ESDで「治療」だけを意識すれば良いものではなく、「診断」も同じくらい大切なものだと捉えるべきだと考えています。ESDの適応かどうかや切除する範囲はどれくらいかなど、正しく診断することが第一で、そこを見誤っては正しい治療はできません。正しい診断ができるかどうかは医師の技量次第です。そのために、経験を積み能力をコツコツと磨くことが重要だと考えています。

経験がものをいう胃がんの鑑別では内視鏡AIが活躍する可能性がある

内視鏡AIはどのような場面で役立つでしょうか。また、どのような医師に有用でしょうか。

内視鏡AIは、主に生検の場面で役立つと思います。内視鏡医が意外と悩むのが生検を実施するか否かの判断です。AIによって病変を見つける機能も素晴らしいですが、生検をするかどうかの判断のサポートを得られるのは助かります。

早期胃がんは見え方のバリエーションが豊富で、発見が難しいことが珍しくありません。経験豊富な医師でも見落としが起こりえる厄介なものなので、胃がん鑑別AIが疑わしい部分の注視を促してくれるのはありがたいと思います。胃がんの鑑別は、とにかく経験がものをいいます。内視鏡検査をはじめて間もない若手の医師にとっては難しくて当たり前なので、内視鏡AIの存在は上級医のサポートを常に得られるような安心感をもたらすかもしれません。

一方で若手の医師だけでなく、ベテランの医師にとっても内視鏡AIは役立つものだと思います。日々の診療の忙しさの中、ベストな状態で仕事を続けることは容易ではありません。朝は元気でも夕方には疲れていたり、場合によっては前日が当直でそのまま検査ということもあるはずです。そんな状況下でも内視鏡AIと意見が一致していれば、自分の判断力に自信が持てるのではないでしょうか。

また、内視鏡の検査を行う健診センターやクリニック・診療所に留まらず、ハイボリュームセンターでも内視鏡AIは役立つはずです。ハイボリュームセンターは検査数が多く、一つの検査を短時間でこなさなければならないため、検査の精度が下がったり、病変の見逃しにもつながったりする可能性が出てきます。内視鏡AIは疲れ知らずなので、そのようなケースでも力を発揮するはずです。また、内視鏡の専門医がいない診療所でも喜ばれるかもしれません。

内視鏡検査は医師にとっては100分の1でも患者さんにとっては1分の1

臨床現場で役立つ内視鏡AIとは、どんなものでしょうか。

多田 智裕(医師)
Tomohiro Tada
医療法人ただともひろ胃腸科肛門科 理事長 株式会社AIメディカルサービス 代表取締役CEO 医師

概略
1996年東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院外科研修医として勤務。
2005年に東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。
2006年より武蔵浦和メディカルセンターただともひろ胃腸科肛門科開業。
2012年より東京大学医学部腫瘍外科学講座客員講師。
2017年株式会社AIメディカルサービスを設立、代表取締役CEOに就任し、現在に至る。  

所属学会・資格・役職など
浦和医師会胃がん検診読影委員
日本外科学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本大腸肛門病学会専門医

著書・論文など
【著書】
『行列のできる 患者に優しい“無痛”大腸内視鏡挿入法』など著書複数。

【論文】
Application of artificial intelligence using a convolutional neural network for detecting gastric cancer in endoscopic images.
Hirasawa T, Aoyama K, Tanimoto T, Ishihara S, Shichijo S, Ozawa T, Ohnishi T, Fujishiro M, Matsuo K, Fujisaki J, Tada T.
Gastric Cancer. 2018 Jul;21(4):653-660. doi: 10.1007/s10120-018-0793-2. Epub 2018 Jan 15.
PMID: 29335825 など多数

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