AI論文サマリー SUMMARY

AIを活用した食道がんの診断支援システムの開発 / がん研有明病院(当時)・堀江義政先生[消化器内科AI論文サマリー]

Diagnostic outcomes of esophageal cancer by artificial intelligence using convolutional neural networks (Gastrointestinal Endoscopy, 2019)

サマリー

はじめに

初期の扁平上皮がんは白色光(white-light imaging;以下、WLI)のみでの内視鏡診断が難しく、ハイリスク患者のスクリーニングに好ましいとされるヨード染色は胸痛や不快感、処置時間の増加などの問題があります。
NBI(Narrow-band imaging;狭帯域光観察)は医師が実施しやすく患者への負担が少ないなど、ヨ―ド染色よりも優れた点があります。
しかし、経験の浅い内視鏡医が使用した場合、食道扁平上皮がんの検出が十分でないケースが指摘されています。
このような課題の解決を目指し、本研究では最先端のAI注1)技術であるニューラルネットワーク注2)を用いたディープラーニング注3)を活用し、食道がんの内視鏡画像を機械学習させたAIによる食道がんの病変検出力を検証しました。

研究方法

8,428枚の食道がん内視鏡画像を収集し、機械学習させたAIを開発しました。
AIによる食道内視鏡画像1,118枚の検証画像に対する病変検出力を検証しました

結果

AIは1,118枚の病変画像を27秒(1枚あたり約0.02秒)で解析しました。
食道がん検出感度は98%でした。
 食道がんの内視鏡画像を機械学習させたAI 感度 46 / 47患者:98% 解析速度 1,118枚の解析時間:27秒 画像1枚あたり:0.02秒

結論

AIは高感度かつ非常に短時間で食道がんを検出しました。
AIをさらに機械学習させ診断精度を向上すれば、将来的には実臨床下での食道がん早期発見や予後改善への貢献が期待できます。

※便宜上、本研究の「ニューラルネットワークを用いたAI診断システム」の表記を「AI」と統一しております。なお、画像を検出するアルゴリズムとして、Single Shot MultiBox Detector注4)を使用しました。

注1)ディープラーニング
ニューラルネットワークの層を増やすことにより、画像認識などの処理能力を画期的に向上させた機械学習の一形態。
注2)ニューラルネットワーク(CNN;Convolutional Neural Network)
人間の脳の神経細胞ネットワークを模倣し、数理モデル化したものの組み合わせ。
注3)AI(=artificial intelligence)
注4)Single Shot MultiBox Detector(=SSD)
機械学習を用いた一般物体検知のアルゴリズム。 深層学習の技術を使い、多種類の物体を高速で検知する。

医学監修 / 柴田 淳一(医師)
Junichi Shibata
医療法人ただともひろ胃腸科肛門科 院長 / 株式会社AIメディカルサービス アドバイザー

概略
日本赤十字社医療センターにて初期研修を修了。その後、東京大学医学部附属病院や関連病院にて臨床経験を積み、東京大学大学院外科学専攻に進学。2017年に大腸切除術における手術侵襲および術後機能の研究で博士号を取得。2019年より現職。

学歴
2007年3月 筑波大学医学専門学群卒業
2017年3月 東京大学大学院外科学専攻修了

所属学会・資格・役職など
浦和医師会胃がん検診読影委員
日本外科学会専門医
日本消化器外科学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
消化器がん外科治療認定医

学会発表・論文など
・Novel computer-aided diagnosis system using convolutional neural networks for endoscopic disease activity in patients with ulcerative colitis (26th UEGW, Vienna, Austria, 2018)
・Novel computer-assisted detection system of colorectal carcinoid tumors using convolutional neural networks (DDW, San Diego, CA, USA, 2019)
など多数

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